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OSPF Summary-LSA (LSA-Type3)

OSPFv2 Summary-LSA (LSA Type3)を解説します。
Summary-LSA(LSA Type 3)はRouter-LSA(LSA Type1),Netowrk-LSA(LSA Type2)をエリアを超えるときにABRルータが生成するLSAになります。Summary-LSAは、Totalyl Stub/Totally NSSA以外で存在できます。

OSPFv2 Summary-LSA(LSA Type3)のフォーマット

下記は、Summary-LSA (LSA Type3)のフォーマットになります。
先頭はLSA共通のヘッダーがあり、以降 Summary-LSAになります。

LSAヘッダーはLSA共通情報になりますので、本ページに記載がない項目は下記ページに記載されています。

LS Type = 3

Summary-LSA は LS Type が 3 となります。

宛先のネットワークアドレスが格納されます。

Advertising Router 

LSAを生成したABRのルータIDが格納されます。

Network Mask

宛先のネットワークのサブネットマスクが格納されます。

metric

生成したAdvertising Routerから宛先のネットワークまでのコストが格納されます。エリア内にLSA伝搬中は、値は変化しません。

TOS / TOS metric

OSPFの規格が検討された際にIPのTOSフィールド毎に異なるリンクのコストを替える技術がRFC 2328で定義されています。TOS毎にコストを定義できるように「TOS」「TOS metric」のフィールドが定義されています。TOS 0以外の時に利用するフィールドですが、この技術を実装しているルータは見たことがありません。

Summary-LSAの生成例

Summary-LSAはABRルータで生成されます。生成されたArea内で有効になります。さらに別エリアへのABRがある場合はエリア向けにSummary-LSAが生成されます。
LSAを全部記述することは難しかったため、必要最低限のRoute-LSAと10.1.0.0/24のSummary-LSAを記述しなっています。
Area1のR1の10.1.0.0/24がAreaを超えてArea0(R3)Area4(R4) のそれぞれのルータにSummary-LSAを利用して経路が登録されるまでを確認します。

R1 (Router-ID 1.1.1.1)

R1はArea1に所属して 10.1.0.0/24 をOSPFで経路を広報しています。ここはRouter-LSAの動作になります。

Router-LSAはインターフェイスに設定IPアドレスのため 10.1.0.0/24 Connetct となっています。コストは1で設定しています。

R1が生成した自身のRouter-LSAを確認します。
10.1.0.0/24 は LinkType(Stub) Cost 1 として記載されています。
また隣接するR2(Router-ID 2.2.2.2)へはPoint-toPointで接続されて Cost 10 となっているのがわかります。

R2 (Router-ID 2.2.2.2)

R2はArea1とArea0が接続されているABRとなります。 10.1.0.0/24 はArea1からR1(Router-ID 1.1.1.1)からのRouter-LSAを元にO(intra area)としてルーティングテーブルを生成します。

R2は R1のRouter-LSA の Cost 1 R2のArea1のRouter-LSA(Cost 10)を元にルーティングテーブルにはmetric 11となっています。

R2はArea1とArea0と接続しているため、Route-LSAではそれぞれのArea向けにRouter-LSAを生成してます。生成されているRouter-LSAにはABR(Area Border Router)のため、BbitFlagが1によりABRを宣言しています。詳細はRouter-LSA
このRouter-LSAから point-to-point でそれぞれ R1(Router-ID 1.1.1.1) Metric 10 、 R3(Router-ID 3.3.3.3)Metic 100 で接続されていることがわかります。

R2はABRルータのため、それぞれのAreaで把握しているRouter-LSA,Network-LSA、Summary-LSAを元にSummary-LSAを生成します。実際R2は複数(Area0->Area1やArea1の10.1.2.0)のSummar-LSAが生成されていますが、今回は10.1.0.0/24だけを確認します。
下記のsummary-LSAを確認すると

  • Area 0
  • LS Type Summary Links
  • Link State ID: 10.1.0.0
  • Adverstising Router: 2.2.2.2
  • Network Mask /24
  • Metric 11 (Arae1内のRouter-LSAのMetric(1+10)を元にMetric 11)

R3 (Router-ID 3.3.3.3)

R3はArea0とArea4が接続されているABRとなります。
10.1.0.0/24 はArea0からR2(Router-ID 2.2.2.2)からのSummary-LSA (Metric 11)、Area0内のRtouter-LSA(Metic 100)を元にMetric 111(11+100)でOIA (type inter area)でルーティングテーブルを生成します。

R3はABRルータのため、それぞれのAreaで把握しているRouter-LSA,Network-LSA、Summary-LSAを元にSummary-LSAを生成します。実際のR3は複数(Area4->Area0やArea0->Area4の10.1.2.0,10.2.2.3.0)のSummar-LSAが生成されていますが、今回は10.1.0.0/24だけを確認します。
Summary-LSAは同一Area内しか生存できません。したがってR2からのSummary-LSAを元にABRであるR3はArea4向けにSummary-LSAを再生成します。再生成する際は、Router-LSAやNetwork-LSA、Summary-LSAを元に経路生成箇所かR3までのMetricをSummary-LSAに格納して広報します。

  • Area 4
  • LS Type: Summary
  • Link State ID: 10.1.0.0
  • Advertising Router: 3.3.3.3 (R3)
  • Network Mask: /24
  • Metric 111 = Summary-LSA(R2 adv 2.2.2.2 Metric 11) , Router-LSA(Metic 100)

R4 (Router-ID 4.4.4.4)

R4は Area 4 のルータになります。
10.1.0.0/24 はR3(Router-ID 3.3.3.3)からのSummary-LSA (Metric 111)、Area0内のRtouter-LSA(Metic 1000)を元にMetric 1111(111+1000)でOIA (type inter area)でルーティングテーブルを生成します。

パケットキャプチャー、Config、各種show結果

上記構成での、Configファイル、各種showの結果、OSPFを起動させて経路が収束するまでのパケットキャプチャーファイルを参考に置きます。

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著:ジョン・T. モイ, 監修:泰弘, 小原, 原著:Moy,John T., 翻訳:トップスタジオ

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